北九州市で一人暮らしをしていた女性(82)は、自分がもし認知症になったら、自宅を売って介護施設に入りたいと考えていました。
そこで同市の司法書士に相談し、娘(50)との間で「家族信託」の契約を結び、自宅を娘の名義にしました。その後、女性は実際に施設に入居、娘は契約に沿って自宅を売却し、そのお金で施設の費用を賄っています。
そもそも家族信託とは、親族など信頼できる人と契約を結び、自分の財産を託す仕組みです。
契約としては、財産を誰のために使うかが明記され、託された人は、その人のためだけに財産を管理・処分します。
司法書士は「認知症になっても、希望した通りにしてもらえます」と強調し、認知症などで判断能力が衰えると、口座が凍結されたり、不動産を自分で処分できなくなったりする恐れがあります。
そのため、財産があるのに生活費が引き出せなくなる人や、施設に入るためのお金が用意できない人もいて、家族が肩代わりすることもあり、家族信託をしておけば、そうした危険を避けることが出来るのです。
家族信託ができるのは判断能力がある人で、認知症になってからでは契約で来ません。財産を託せるような信頼できる人がいることも不可欠です。契約時に司法書士らに払う費用は、託す財産の1%程度が目安で、ほかに不動産登記の費用などがかかる場合があ理、正しく財産管理されているかチェックするため、別の親族や司法書士などを「監督人」として置くことも出来ます。 自分や家族の安心のために、財産をどう活用していくかが大切となります。
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